弁護士による内容証明

内容証明という言葉を一度は聞いたことがある方が多いと思います。
内容証明は、交渉案件などにおいて、弁護士が相手方に対して意思表示をする際、しばしば用いる郵送手段です。
本ブログでは、そもそも内容証明とは何なのか、ということについて詳しくご説明したいと思います。

 

内容証明の使い道

内容証明の使い道 画像

内容証明とは、後に、どのような内容の文書を差し出したのかということを証明するための制度です。

例えば、遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅してしまいます。
そのため、1年以内に、遺留分侵害額請求権を行使しなければならないのですが、行使後、「1年以内に、遺留分侵害額請求権を行使した」ということを証明しなければなりません。そこで、内容証明という制度が有効になってくるのです。

確かに、郵便には、特定記録、一般書留、簡易書留など、その他の郵送手段があり、これらの手段でも、「いつ、差し出されたのか、いつ、相手方に送達されたのか」という立証は可能です。

しかし、差し出された文書が「どのような内容」だったのか、ということについてまでは証明できません。
後に、差し出された文書が「どのような内容」だったのかを証明する手段として、内容証明という郵送手段が最も有効なのです。

なお、内容証明郵便を送付する際には、いつ相手方に送達されたのかということを証明するために、配達証明を付けた方が良いでしょう。

 

内容証明による時効完成の阻止

また、内容証明を送付した場合、時効の完成を阻止することも可能となります。

例えば、金銭の貸付をしてから相当期間が経過し、時効完成が間近な場合があります。このような場合、配達証明付きの内容証明を利用し、相手方に金銭請求を請求します。

この請求は、民法153条の定める「催告」に該当しますから、請求後、6か月以内に訴訟提起等の行為を行うことで、時効の中断の効果が生じることになります。
つまり、内容証明を送付することで、暫定的ではありますが、時効完成を阻止することが可能となるのです。
そのため、時効が間近に迫っているような場合、内容証明を利用することは、有効な手段となるでしょう。

 

内容証明の書式

内容証明の書式 画像

ところで、内容証明とは、一定の書式に従って発送しなければなりません。1枚あたり、1行20字以内かつ26行以内であるという字数の制限があります。
そして、記名、押印、各頁の間に割印を押印の上、作成します。
内容証明の発送にあたっては、相手方への発送用、発送者の控え用、郵便局の控え用のために、同じ文章を3通用意することになります。

また、内容証明を発送できる郵便局は限られていますので、事前に調べた上で発送する必要があるでしょう。

なお、内容証明には、電子内容証明もあります。
電子内容証明を用いて発送する場合には、特に文字数制限はありません。しかし、頁の余白に決まりがありますので、注意が必要です。(くぬぎ経営法律事務所では、内容証明を発送する場合には、電子内容証明を用いております。)

 

弁護士による内容証明作成の意義

内容証明は、弁護士でなければ発送できないというものではなく、どなたでも活用できる手段です。そのため、相手方に発送する手紙で、送付した内容を証拠化したい場合には、活用すべき手段と言えるでしょう。

もっとも、内容証明を用いて差し出された文書の内容は、良くも悪くも証拠として残ってしまいます。証拠として残ってしまうことから、送付する文書の内容については、精査した上で発送することが不可欠となります。
内容を精査するため、弁護士にその作成を依頼するというメリットは大きいのではないかと思います。

 

内容証明による弁護士の介入

また、弁護士に相手方との交渉を依頼した場合、弁護士名にて内容証明を発送することになります。(この場合、「受任通知書」というタイトルで送付することが多いでしょう。)

弁護士が介入することで、その後は、基本的に、弁護士が相手方との交渉のやり取りを行うことになります。
もちろん、交渉事件での受任となりますから、相当額の弁護士費用(費用についてを参照)は発生することになりますが、弁護士が相手方と交渉することで、ご依頼者様の精神的な負担は、少なからず軽減されるのではないかと思います。

 

まとめ

これまで内容証明の使い道や意義などについて述べて参りました。
確かに、内容証明とは相手方に送付する手紙であり、それ自体に大きな法的効果はありません。
しかし、自らの意思を相手方に確実に伝え、その伝えた意思を証拠化する手段としては、最適な方法と言えます。

本ブログの内容が、内容証明の利用を考えている方、弁護士に交渉を依頼しようとしている方などのお役に立つことができれば、幸甚です。

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