経営診断

企業様、個人事業主様の経営支援を行うにあたり、経営改善のための具体策を講ずるには、経営状況を十分に把握することが不可欠です。

特に、昨今の内部環境や外部環境は日ごとに目まぐるしく変化しております。このような環境下において、経営状況を把握するには、経営における専門的な知見を有した上で、経営診断を行う必要があります。

経営診断とは?

当くぬぎ経営法律事務所の代表上村は、弁護士資格に加えて、中小企業診断士の資格を保有しています。

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための経営診断・助言を行う専門家であり、法律上の国家資格となっています。中小企業診断士として登録されるためには、いくつかの方法がありますが、代表上村は、第一次試験(短答式試験)と第二次試験(筆記試験、口述試験)に合格し、一般社団法人中小企業診断協会の実施する実務補習を経て、登録に至りました。実務補習では、経営診断の基礎を学ぶとともに、様々な業種で活躍している方々と共に業務に携わることで、かけがえのない経験を得ることができました。

企業の内部環境や外部環境は、日々刻々と変化します。そのため、企業の経営課題を分析し、その対策を講じることが極めて重要となってきます。

以下、経営診断の具体的な方法についてご説明致します。

経営診断の具体的な方法

経営診断において、まず行うべきことは、SWOT分析です。SWOT分析とは、企業の内部環境と外部環境の分析に欠かせない手法であり、経営診断を行う上では、最もポピュラーなものといえるでしょう。

 SWOT分析の「S」とは「Strengths」(強み)、「W」とは「Weaknesses」(弱み)、「O」とは「Opportunities」(機会)、「T」とは「Threats」(脅威)を意味します。この中で、「S」と「W」は企業の内部環境、「O」と「T」は企業の外部環境に関わるものです。

企業様からヒアリングにより得た情報は、これらの項目に分けて整理します。その後、クロス分析により、企業戦略を考えることになります。つまり、①「強み」により「機会」を最大限に活用する積極的攻撃戦略、②「強み」によって「脅威」を最小化し、ピンチをチャンスに変える戦略、③「弱み」があることで「機会」を逃さないようにする弱点補強戦略、④「弱み」と「脅威」によって最悪の結果となることを回避する防御戦略という各戦略を立てることになります。

 また、経営診断においては、SWOT分析だけでなく、財務分析も極めて重要な作業となります。財務分析とは、主に、①時系列分析と②同業他社との比較分析により行います。

 上記①の時系列分析とは、概ね3期分の貸借対照表、損益計算書などから、企業の財務状況の変動を調査するものです。この分析により、特に、変動が大きい勘定科目については、その原因を分析し、対策を講じることになります。

 上記②の同業他社との比較分析とは、同業他社の経営指標を比較検討し、企業の課題を分析する手法です。経営指標とは、経営状態を表す指標のことであり、主に、収益性、効率性、安全性の観点から検討されるものです。

 例えば、収益性を表す指標の一つである売上高経常利益率とは、経常利益の売上高に対するパーセンテージを示すものであり、経常利益÷売上高×100(%)により算出します。もし、同業他社よりも売上高経常利益率が低い場合、借入金額が多いため、支払利息の負担が大きいことが推測できます。

また、効率性を表す指標の一つである棚卸資産回転率(在庫回転率)とは、商品等の販売が効率良くなされているかどうかを見る指標であり、売上高÷棚卸資産(回)により算出します。もし、棚卸資産回転率が低い場合には、在庫をうまく処理できておらず、在庫の仕入れや販売を見直す必要が生じます。

安全性を表す指標としては自己資本比率などが挙げられます。自己資本比率とは、自己資本÷総資本×100(%)により算出します。この指標は、過去の利益の蓄積、つまり内部留保がどのくらいあるのかということを表す指標です。自己資本比率が高ければ、内部留保が高く、安全性が高いといえることになります。

これらの経営指標について、同業他社と比較することで、どのような点が強い、または弱いのか、何が課題なのかということが見えてきます。戦略を立てるには、このような分析を経た上で、課題を抽出することが不可欠なのです。

課題を抽出した後は、その課題についての対策を考察します。当くぬぎ経営法律事務所では、企業として、今後何を目指すべきかを明らかにするように、①事業計画書(経営改善計画書)と、②資金繰り表(実績、予測)の作成をお勧めしております。

 上記①の事業計画書(経営改善計画書)とは、経営診断に基づき明らかとなった課題を、今後どのように対策し、実行していくのかを明確にするものです。実際に、課題や対策が見つかったとしても、その内容をその他の従業員等、誰もが分かる状況にしなければ実行に移すことはできません。また、金融機関から融資を受ける際にも、経営課題に対する対策を説明できる資料が必要となります。経営課題とその対策は、「可視化」しなければならず、そのための事業計画書(経営改善計画書)の存在は不可欠です。

 上記②の資金繰り表(実績、予測)は、実際の現金の出入りを把握するために、極めて重要な資料です。つまり、企業間の取引においては「売掛金」、「買掛金」などの、いわゆる「掛け取引」がなされます。その結果、貸借対照表や損益計算書の記載と、実際の現金の出入りには乖離が生じます。そのため、実際の現金の出入りを把握するための資金繰り表の作成が必須となります。

ここで、資金繰り表は、「実績」(過去の現金の出入り)だけでなく、「予測」(経営改善に基づく将来の現金の出入り)を含めたものでなければなりません。このような「予測」数値は、例えば、金融機関から融資を受ける際に、返済額の指標になるからです。

もちろん、あくまで予測ですので、必ずしも、予測通りの結果になるわけではありません。しかし、仮に、実績と予測の数値に違いが生じた場合には、その違いが生じた原因を分析し、その対策を講じることで、予測数値の実現を目指すことができるのです。これを「PDCAサイクル」と呼びます。(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善))

 以上のとおり、経営診断の概略についてご説明させていただきました。もちろん、経営診断の方法は、個別事案によりますので、一概にご説明することは難しいのですが、企業の経営状況を分析し、課題を見つけ、その対策を講じるという流れはいずれも同じであります。もし、企業の経営改善についてお考えの企業様がおられましたら、お気軽に当くぬぎ経営法律事務所にご相談いただけますと幸いでございます。

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お電話でのご相談03-6458-3845業務時間 9:30~17:00メールでのご相談info@kunugi-law.com

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