遺産分割の進め方

速やかな遺産分割の必要性

速やかな遺産分割の必要性 画像

相続が発生すると、被相続人が遺言を残していない場合、相続人間で遺産分割の協議を実施することになります。

ここで、相続税の申告・納税には期限がありますから、被相続人の死亡後は、可能な限り速やかに遺産分割の協議を進めなければなりません。

つまり、相続税の申告・納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。特に、相続税には、連帯納付義務がありますから、自己の相続税だけでなく、他人の相続税についても納付しなければなりませんので、注意が必要です。

以下、どのように遺産分割を進めれば良いのかについて、ご説明致します。

 

相続人の調査

相続発生後は、速やかに遺産分割の協議を進めなければなりませんが、まず、協議に向けて何をしたら良いのかということについて、悩まれる方が多いと思います。

遺産分割において、まずすべきことは相続人の調査です。相続人の調査は、被相続人が生まれたころからの戸籍謄本類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)を取り寄せることにより行います。

もっとも、上記戸籍謄本類の取り寄せについては、多数の区役所、市役所に問い合わせをしなければならず、特に、兄弟相続の場合には、相続人の数が多く、相当複雑な手続にならざるを得ません。

複雑な相続人の調査については、職務上請求が可能な弁護士の役割が重要になるでしょう。

 

遺産の範囲

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相続人の調査の後は、被相続人がどのような遺産を残したのか(遺産の範囲)について、調査する必要があります。

遺産は、不動産、預貯金、有価証券、動産など、その種類は様々です。しかし、実際に、被相続人がどのような遺産を残したのかにつき、その調査方法が分からないことで、遺産分割を進めることができない場合があります。

遺産の調査は、まず、被相続人宛の郵便物を手掛かりに調査します。そして、不動産については、固定資産課税台帳(名寄帳)の取り寄せを行う、預貯金等については、金融機関に対して取引履歴の開示請求を行うなどして、調査します。

弁護士であれば、弁護士会照会制度(23条照会)を利用するということも可能ですから、遺産の調査において、弁護士の果たす役割は大きいでしょう。

 

遺産の評価

どのような遺産があるのかについて調査した後、その遺産はどのくらいの価値なのか、評価をしなければなりません。特に、遺産の中でも不動産(土地、建物)については、その評価額について、しばしば争いとなります。

一般的には、土地については路線価、建物については固定資産評価額を基準とします。もっとも、路線価は市場評価額の8割程度、固定資産評価額は市場評価額の7割程度ですから、市場評価額よりも低額であることを理由に遺産分割の協議が整わないということもあります。

その場合には、不動産鑑定を行うことにより、市場評価額を算出することになりますが、不動産鑑定を行うには、相当な費用が必要になります。そのため、不動産鑑定を行うことが経済的かどうかについても、事案ごと個別に検討しなければなりません。

このように、遺産の中でも不動産の評価は、相続人間でしばしば争いとなります。路線価、固定資産評価額などを参考にしながら、相手方との交渉の上、和解により、その評価額を確定することもあります。交渉を行う上では、弁護士による介入や助言等が必要になってくるでしょう。

 

遺産の分配

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相続人の調査、遺産の範囲の特定、遺産の評価を終えると、誰がどの遺産を相続するのか、遺産の分配の問題になります。

遺産分割においては、不動産は取得せず、預貯金だけ取得したいという方や、特定の不動産だけはどうしても取得したいという方がいらっしゃいます。しかし、各相続人全員の希望が通るということは必ずしもなく、遺産の帰属をめぐって争いになることはしばしばあります。

仮に、任意での交渉が整わず、遺産分割協議が決裂してしまった場合には、家庭裁判所の調停ないし審判という手続を行うことで解決しなければなりません。

調停ないし審判においては、遺産を誰がどのように取得すべきか、被相続人の意思、被相続人と相続人との関わり合いなどから、主張、立証を尽くす必要があります。調停ないし審判という裁判手続においては、その進行にあたり、多くの法律的な知見を有しますので、弁護士への依頼が必要になるでしょう。

 

遺産分割における弁護士の役割

これまで、相続が発生してからの遺産分割の流れをご説明してきました。ただし、流れは同じでも、その個別事情は、事案によって全く異なります。異なる事案の中で、どのような解決が最も妥当なのかを個別に検討し、相手方相続人との十分な協議を経て解決しなければなりません。

遺産分割は、十分な法律的な知見を有しつつ、主張、立証を尽くすことで行う必要があり、弁護士の役割は大きいと思われます。くぬぎ経営法律事務所の代表上村は、これまで数多くの遺産分割の事案を扱い、解決してきました。その知識、経験につきましては、ご相談者様、ご依頼者様のお役に立てると思いますので、遺産分割についてお困りの方は、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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